学校防災関連情報―コンテンツ1 被災した子どもへの「心のケア」
今回の震災では、多くの子どもたちが親を亡くしたり、家が壊れて住めなくなったりしました。まだ精神的にも幼い小中学生にとって、こうした出来事の大きさは計り知れず、中にはPTSD(心的外傷後ストレス障害)になってしまう子もいます。
そうならないためにも、周囲の大人たちがしっかり支えていきたいところですが、実際にどう接するかは、非常に難しい問題です。
PTSDとは?
PTSD(心的外傷後ストレス障害)とは、自然災害や事件、事故などの衝撃的な出来事によって、情緒が不安定になったり、不眠に陥ったり、食欲が落ちたりする状況が1ヵ月以上続くことです。
PTSDに見られる症状の例
- 災害のことを思い出すような動作や遊びを繰り返す
- 災害の夢や怖い夢をみる
- 突然、災害のことを思い出したり、頭に浮かんできて怖さを感じる
- 災害を思い出すようなことがあると緊張したり、ドキドキする
- 災害のことを思い出したくない
- 災害を受けた場所や状況を回避する
- 寝つきにくい
- かんしゃくを起こしやすい
- 注意を集中しにくい
- 警戒心が強くなる
- (文部科学省「非常災害時における子どもの心のケアのため」より引用)
担任の役割は?
傷ついた子どもたちのへの接し方の注意点、配慮すべき事項は、以下のとおりです。全体を通して大切なのは「受容的なかかわり方」をすることです。
被災した小学生に対する心のケア
- 毎朝の児童たちの表情に留意し、健康状態の把握に努める
- 積極的に言葉をかけ、話に耳を傾ける
- やさしい言葉がけを増やし、安心させる
- 握手などの身体的な接触を行い、一緒にいる時間を増やす
- 児童が一人ぼっちになる場面を作らない
- 「がんばれ」などと激励せず、「~したらどうかな?」と一緒に考えるようにする
- 身体を使って遊ぶ活動を増やす
- グループ活動を数多く取り入れる
- 学級通信などを通じて、心のケアに関する情報を保護者に伝える
- 児童たちの不安が和らぐよう、自身がなるべく平静を保ちながら接する
- 不安定さが長く続く児童は、専門家や専門機
被災した中学・高校生に対する心のケア
- 毎朝の生徒たちの表情に留意し、健康状態の把握に努める
- 積極的に言葉をかけ、話に耳を傾ける
- やさしい言葉がけを増やし、安心させる
- 握手などの身体的な接触を行い、一緒にいる時間を増やす
- 生徒が一人ぼっちになる場面を減らす
- 「がんばれ」などと激励せず、「~したらどうかな?」と一緒に考えるようにする
- 生徒たちが復興のためのボランティア活動などに参加できる場を作る
- 「自分は何をすべきか」など、具体的な行動目標が設定できるように支援する
- 教師や保護者が、生徒と一緒になって実現可能な目標を設定し、一つひとつ解決しながら達成感が得られるようなことを企画する
- 必要に応じて家庭訪問をするなどして、各生徒の心身の状態把握に努める
- 学級通信などを通じて、心のケアに関する情報を保護者に伝える
- 生徒たちの不安が和らぐよう、自身がなるべく平静を保ちながら接する
- 不安定さが長く続く生徒は、専門家や専門機関等につなぐ
- (文部科学省「非常災害時における子どもの心のケアのため」記載の情報を編集)
子どもの「心のケア」は、担任一人だけで対処できるものではありません。管理職や同僚、保護者、地域の人たちなどを巻き込みながら、組織として対応できるように働きかけていきましょう。